純正野球ファンのメモ
通行人さん、コメントありがとうございました。
これ、いい事言ってる。
http://blog.livedoor.jp/ted9aoki23/
偶然ではない「がばい旋風」
第89回夏の甲子園は佐賀北が初優勝を果たしました。
まずは佐賀北ナインのみなさんおめでとうございます。高校関係者並びに、佐賀県、九州地方の高校野球関係者の努力の結晶だったと思います。これは決して「偶然の産物」ではなかったということは、その戦いぶりが証明しています。
�ソフトボール
「九州には少年野球がない」という話を聞いたことがあります。最初は耳を疑ったのですが、九州の小学生は軟式ボールを使った野球ではなく、ソフトボールをやるんだそうです。何人かの九州出身者に聞くと「そうだ」という。硬式ボールとほぼ同じ重さ、少年軟式球よりも20グラム近く重いソフトボール(1号球)に小学校時代に親しんだ球児たちは、例え中学時代に軟式球でやって、高校で初めて硬式球を握ったとしても「投げやすい」「重くない」と感じるのではないだろうか。
実際、九州の高校球児は強肩が多い。
佐賀北に関して言えば「スナップスロー」が非常に上手かった。軽く放っても捕球者の近くで御辞儀しない送球ができる。この確かな技術があるので、大事な場面での送球ミスが起こらなかった。
決勝戦の9回。無死一塁で犠打で走者が二塁に進み、そのまま一気に三塁を陥れようとしてアウトになったシーンになった。一見すると暴走に映るシーンだが、これは走者の好判断である。決して暴走ではない、と私は感じた。
勝負どころの三塁、本塁は悪送球の宝庫である。今大会も駒大苫小牧、大垣日大といった強豪が三塁、本塁の悪送球で敗れている。あの場面は完璧な送球をしないとアウトにできないタイミングだった。決勝戦9回に一塁手の辻君は見事な送球をした。それは全力で三塁に放るのではなく、力まず軽く、確実に送球した。この走者を殺せば全国制覇という場面で力まずに送球するってのは至難の業である。広陵の走者・林君と三塁コーチャーはこういう心理状態も計算して走ったのだと思います。それを刺した佐賀北の「スナップスロー」の上手さが広陵の走塁を上回っていたのだと思います。
�クロスロードin鳥栖
九州では「クロスロードin鳥栖」というオープン戦が5月の大型連休に行われるという。参加校は130校近くだそうで、九州一円はもちろん関東、関西からも強豪校が遠征をしてくるそうだ。
佐賀北はもちろん、佐賀県下の学校も恐らく多数参加するのだろう。佐賀県にはいわゆる「野球学校」がない。それゆえ人材が一校に固まることがなく、それぞれ地元校に進学する。そんな学校が鎬を削っているから、地方予選で前年初戦敗退の学校が、全国制覇できる実力があっても不思議ではない。県全体というか地域全体のレベルが高いのだ。
加えて「クロスロードin鳥栖」の例を挙げるまでもなく、佐賀県という立地条件が良い。福岡、大分、長崎、熊本など九州各地の学校が佐賀は遠征で通る場所となる。練習試合の相手には事欠かないのだ。大体、北海道よりも狭い面積で九州は7校も夏の大会に出られる。春も4校近く出場できる。
それでも九州勢はここ数年、甲子園で勝負弱かった。それが何故、今大会はベスト8に3校も残れたかというと、接戦を制して流れに乗ったとしかいいようがない。
佐賀北が流れに乗れたのは、初戦で勝ったことと、再試合をやれたことで一気に「場慣れ」したとしか言いようがない。
決勝戦でも「落ち着いているなぁ」と感心したプレーが二つあった。一つは二回に満塁からスクイズを外した場面。相手が仕掛けてくる場面を見切って外したバッテリーも見事だが、その後、捕手・市丸君は三塁走者を追い込みながら、三塁で二塁走者もアウトにできるタイミングで送球した(判定はセーフ)。確実にアウトを取るならば、走者を三塁まで追い込んでしまうのだが、一気に二つのアウトを取ろうという高度なプレーだった。
もう一つは6回。一死一・三塁でのショートゴロ。ショートの井手君は判断良く、三塁に送球し、6−5−2と転送して三塁走者を殺した。普通なら直接、本塁に転送するところなのだが、三塁走者の小林君はオールセーフを狙ってハーフウェーで止まっていた。本塁に転送すれば、一死満塁になるところだった。そこで三塁に送球した判断が光る。遊撃手、三塁手は落ち着いてボールを転送して一つのアウトを確実に取った。試合巧者・広陵の走塁技術を上回る守備力だった。
決勝戦での残塁は佐賀北が4つだったのに対して、広陵は13もあった。初回以外は毎回ランナーを許し、9回以外は毎回スコアリングポジションに走者を送られた。にもかかわらず4点に抑えたというのは、勝つチームの試合をしていたということだろう。監督さんはこのチームに随分と基本的なトレーニングを課したという。こうした練習の賜物のような守りの堅さだった。
佐賀北の守備力は実戦経験の豊富さと、甲子園での試合経験の豊富さが両方かみ合った結果だったと思う。
�審判
この問題に触れないわけにいかない。8回の押し出しの場面。残念ながらあのボールは完璧なストライクだった。
高校野球に限らずアマチュア野球の審判の質は、まぁ、ひどいものである。決勝戦の球審に関して言えばそもそもストライクゾーンが辛かった。際どいボールはほとんど手を上げてくれなかった。佐賀北の久保君も帝京戦ではストライクと言ってくれたボールがことごとくボールだった。もっとも、帝京戦の審判は外角に異常に広いストライクゾーンだったが。
問題のシーンは、佐賀北が連打した時点で球場の雰囲気は異常なものとなった。すでに1番打者の辻君に対して、審判の判定は「フリーズ」していた。普段から辛く取っているので、ここ一番で緊張してさらに辛くなってしまったのだ。審判の「技術」に自信が無くなったのだろう。こういう審判を甲子園の決勝の球審にしていいのか、という思いもあるが、押並べてアマチュアの審判なんてのはこのようなものである。これは広陵も佐賀北もわかっていた話だろう。
で、2番の場面。もう、審判はど真ん中じゃないと手が挙げられない心理状態だったと思う。いや、全くこの審判は下手なのだが、何度も言うようにこういう審判しかいないのである。
ただ、それでも3番の副島君をほめなければならない。なぜならば、副島君は初球のカーブを打ってファールしたのだ。ここで弱気になっていては初球は手が出せないところ。しかし、副島君は3番の自覚十分。四球のあとの初球を狙うという鉄則を守った。さらに、変化球一本に的を絞って待っていた。そこにど真ん中にスライダーが入ってきたので、豪快にしばきあげた。見事な満塁本塁打だった。
一方、投手の野村君にしてみたら、その前の押し出しで冷静さを完全に失った状態だった。初球のカーブで変化球狙いを察知していれば、スライダーをもっと低めに集めておくべきだった。1−2のカウントからボール球でカウントを整えられる投球術が彼の持ち味だったが、まぁ、これは結果論。ストライクが欲しくてたまらなかったのだろう。相手が初球から振ってきていることに「決めに来ている」と感じていれば違った結果もあったかもしれないが…。
ところで、この判定をめぐって広陵の中井監督が勇気のある発言をした。
「ストライク・ボールで、あれはないだろうというのが何球もあった。もう真ん中しか投げられない。少しひどすぎるんじゃないか。負けた気がしない。言っちゃいけないことは分かっている。でも今後の高校野球を考えたら…」
これは、負け惜しみでもなく立派な発言だと思いますね。子供たちは言いたくても言えない。あまりの酷さに口走ったのでしょう。これは立派だと思います。正論だと思います。ところが、これに対して高野連の答えは「厳重注意」。
しかも、もっと由々しきことはこの発言をほとんどのメディアが報じていない。日刊スポーツが大きく取り扱ったくらいでしょうか。他のスポーツ紙は見ていませんが、主催者である朝日と読売は報じていませんでした。毎日は記事にしていたようですが。
確かにアマチュアですから、審判の技術が下手なのは仕方ありません。しかし、こういう身命を賭した名門校監督の問題提起を黙殺しては、こういう「疑惑の判定」がまた起こるとも限りません。というか、地方予選レベルではこういった判定はいくつもあるんじゃないでしょうか。
あと、帝京戦の判定について一言。
異常に広いストライクゾーンと、スクイズの判定について疑問が残りましたが、そもそも帝京高校というチームは「10回やって10回勝つ野球」を標榜しています。判定云々言う前に、序盤でリードを奪って相手の戦意を喪失させないといけないんです。
佐賀北に食い下がられた時点である意味宿命。もっと言えば、あそこでスクイズじゃなくて打たせていれば、という気もします。
結論としては、審判の判定についてアマチュア野球でいろいろとあるのはつき物なのですが、そこに胡坐をかくんじゃなくて、技術向上に努めようという姿勢は欲しいなと思います。
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